友<セラフィザイン>を救うのは、死か、貴方か。
様々な同人システムを生み出す、「どらこにあん」さん。ドリームテリングゲーム「ロアテラ」から始まり、「赫炎のインガノックTRPG」、「朱の孤塔のエアゲトラム」、ジュブナイルロボットアクションTRPG「碧空のストレイヴ」、「詩片のアルセット」、「紫縞のリヴラドール」、「胎より想えグラノセラ」、「黒絢のアヴァンドナー」などの魅力的でどこか儚いそんな世界を描いた「どらこにあん」さんから新作がでるとの情報が舞い込んでまいりました。
この記事では、「どらこにあん」所属であるゲームデザイナーのデイリーさんに、ゲームマーケット2016秋、東8ホール「Q15」ブースにて、頒布予定のオリジナルTRPG「青春疾患TRPG セラフィザイン」についてお聞きした魅力を余すことなくお伝えしようと思います!
◆新作は「碧空のストレイヴ」を製作したデイリーさんの渾身作
[speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="4.jpg" name="デイリーさん"] 私は、同人TRPG製作サークル「どらこにあん」でゲームデザイナーをやっております、デイリーと申します。と言っても、TRPGの同人誌作成を始めたのは昨年の冬コミからなので、まだまだ分からないことだらけなんですけれども。 同サークルのフユさんをはじめ、サークルメンバーの皆に協力してもらいながら、なんとか作成を続けています。そんなわけなので、今回このような機会を頂くことができて、嬉しさもあるのですが、同時に驚いてもいます。 [/speech_bubble][speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="3.jpg" name="鶴里翠"] これまでどのような作品を作られてきたんですか?[/speech_bubble]
[speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="4.jpg" name="デイリーさん"] 最初に関わらせて頂いたのは、フユさんが手がけた「朱の孤塔のエアゲトラム」ですね。「エアゲトラム」は、ロボットアクションを題材にしたTRPGであり、そのロボットは、多くのパーツの中から好きなものを選んで作成するのですが、それらのパーツは、それぞれ製造した企業というのが設定されているんです。自分はその内の一つ、SSA(スタンダード・シルバー・アームズ)という企業の設定づくりと、パーツのフレーバー作りに関わらせて頂きました。これが、自分が最初に作成に関わった同人TRPGになります。その後、フユさんからの助言と、戦闘システム周りなどのアドバイスを得て、デザイナーとして自分の作品作りを始めました。その第一作が、2015年冬のコミックマーケットにて頒布した、「碧空のストレイヴ」です。こちらは、「エアゲトラム」と同じくロボットアクションを題材にしたTRPGなのですが、自分の作品と言うことで、世界観や設定などほぼ自分で作らせて頂きました。 [/speech_bubble]
[speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="3.jpg" name="鶴里翠"] 「碧空のストレイヴ」とはどんな作品ですか? [/speech_bubble]
[speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="4.jpg" name="デイリーさん"] 「碧空のストレイヴ」は、近未来、滅亡に瀕した地球で、人類に擬態する敵「ヴァイエル」を退け、宇宙への脱出を果たすため、人型兵器「ストレイヴ」に搭乗して戦いを挑む少年少女たちを描いたTRPGです。特色としては、縦20列のマスでできた戦闘マップを用いています。マップは空域を表しているので、そのマップを上下移動することが、そのまま、機体の高度が上下していることを表します。人類の敵である「ヴァイエル」は、空の果て、宇宙にある人類の宇宙船を目指して上昇するので、PCは、「ヴァイエル」が一定高度に到達する前に倒す必要があります。そのマップを実際に敵が上へ移動し、PCもそれを追撃する、という形で、空中での機動戦闘を表現しています。また、世界観・設定面では、「ストレイヴ」というロボットは、搭乗者の心によって形作られるという特性を持っているためキャラメイク時には、エアゲトラムと同様、一定数のパーツの中からデータを選んで組み合わせるのですがそれらのパーツに、搭乗者の感情がフレーバーとして割り振られており、ロボットのデータを作成すると、それがそのまま、搭乗者、PCの内面や心情を表現することになります。 [/speech_bubble]
[speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="3.jpg" name="鶴里翠"] 「ストレイヴ」に搭乗できるのが少年少女だけなのはなぜですか?[/speech_bubble]
[speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="4.jpg" name="デイリーさん"] 「ストレイヴ」は、人の心に反応して形を変える未知の物質「オルガマター」というもので形成されているのですが、この「オルガマター」をコントロールすることができるのが、少年少女だけだからです。正確には、適性のある少年少女、ですね。オルガマターを操作するには、オルガマター製の人工神経を身体に埋め込まなければならないのですがこの人工神経の移植手術は、幼少期でなければ受けられないのです。作中の年代設定では、この処置が始まった時期が最近であったこともあり少年少女しか存在していない、という形になりました。[/speech_bubble]
デイリーさんが作られるゲームは「少年少女」がキーワードになって、なにかと戦ってるイメージが強いですね。エアゲトラムのSSAという企業の設定作り、パーツのフレーバー作りに関わってらっしゃったと聞いてとても驚きました。SSAは癖もなく、汎用性の高いパーツを産出する企業です。是非、エアゲトラムを遊ぶ際はSSA社のパーツと他社パーツを組み合わせてくださいね!
◆新作「青春疾患TRPG セラフィザイン」とは?
[speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="4.jpg" name="デイリーさん"]「青春疾患TRPG セラフィザイン」は、21世紀初頭の日本が舞台です。そこでは、人間の身体が突如異形化し、その後死に至るという新たな病が猛威を振るっていました。この疾患の名が、「セラフィザイン」です。しかし、「セラフィザイン」には一つの特徴がありました。多くの発症者が、発症後約3日以内に死亡するのに対し、10代の青年期に当たる者は、発症しても進行が遅かったのです。また、中には、全く進行しなくなる者もいました。日本政府は、そんな彼ら、「セラフィザイン」を発症した少年少女たちを特定の地域に集め、治療・研究することとしました。本作は、そんな特定地域の一つである街が舞台となっています。
その街では、「セラフィザイン」を専門的に治療・研究する病院が設立され、多くのセラフィザイン患者が集められました。しかし、そこで問題が起こりました。「セラフィザイン」の治療には、既存の医薬品や医療機器が全く効果を発揮しなかったのです。セラフィザインの治療には、同じくセラフィザインを発症した者の血液内にある特殊な因子が必要だったからです。そこで、「セラフィザインを発症しながらも進行しなかった者」に白羽の矢が立ちました。政府は彼らに教育を施し、セラフィザイン専門の医療スタッフとして各地の病院に派遣し、セラフィザイン患者の治療と介助に当たらせたのです。それら医療スタッフは、「トレラント」と呼ばれました。こうして、セラフィザイン患者とトレラント、二つの立場に立った少年少女たちの、この病との戦いの日々が始まることとなりました。
本作は、そんな彼ら「セラフィザイン患者」及び「トレラント」となって、この病に立ち向かう日々を描くTRPGです。[/speech_bubble]
[speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="3.jpg" name="鶴里翠"]セラフィザインにかかっても10代の青年期に当たる者たちは、発症しても進行が遅かった、と伺いましたが、それには何か理由があるのでしょうか?[/speech_bubble]
[speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="4.jpg" name="デイリーさん"]作中設定的には、原因は不明という扱いになっています。設定としては存在していますが、作中では特に明示はしていないですね。[/speech_bubble][speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="3.jpg" name="鶴里翠"]なるほど、もしかしなくとも、どらこにあんさんの所でよくある「他のシステムの世界」に繋がってたりとかで、ですかね。[/speech_bubble]
[speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="4.jpg" name="デイリーさん"]そういう要素は入れているので、他作品をお持ちでいらっしゃる方は、そのあたりに注目して下さると、楽しんで頂けるかと思います。本作単独では、あくまでも謎という扱いになっています。[/speech_bubble][speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="3.jpg" name="鶴里翠"]ありがとうございます。では、つぎの質問に移りますね。セラフィザインを直すにはセラフィザインを発症した者の血液内にある特殊な因子が必要であると伺いましたが、それで外の大人たちを救うことは可能なのでしょうか?[/speech_bubble]
[speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="4.jpg" name="デイリーさん"]それについては、不可能となっていますね。大人が発症した場合、進行が急激かつ重篤なため、因子を用いた薬剤を使用しても、死亡への経過を止められないのです。あくまでも、進行が遅くなる若年者にのみ有効ということになります。[/speech_bubble]
どうやらかなり大人に対してシビアな世界なようですね。外の世界で生きる大人達はかなり少なくなっているのでしょうか? 感染系の病気じゃないだけ、『救い』なのですかね。魅力的な世界に浸るためにも早く新刊をこの手にとりたいです!
そして、他のシステムとどのように世界が繋がっているのかも気になるところです。「どらこにあん」さんが出されるゲームは大抵どこかでリンクしていますしね! 注意しながら過去作品と比べていくのも楽しみだと思います。
◆戦闘して敵を倒す?いえ、手術して『救う』んです。
[speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="3.jpg" name="鶴里翠"]TRPGプレイヤーが気になるところかと思うのですが、戦闘フェイズなどはありますか?また、今のご紹介を読む限り、もし、戦闘フェイズがあるとしたら、戦う相手はセラフィザインにかかった子供たちなのでしょうか?[/speech_bubble]
[speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="4.jpg" name="デイリーさん"]戦闘フェイズはあります。戦う相手も、PCたちと同様、セラフィザイン患者です。本作の戦闘は、オペレーションと呼ばれる、外科手術をイメージしたものとなっています。ですが、セッションにおける位置づけとしては、これまでのTRPGの戦闘に当たると思って頂いて大丈夫です。異形化部位が暴走し、抑えられなくなったセラフィザイン患者に対し、患部を切除ないし破壊することで治療する、という手術の一連の流れを戦闘として表現した形になりますね。
特色としては、相手は患者なので、命を救わなければならない点にあるかと思います。つまり、殺してしまってはいけないわけです。ボスには本人のHPと、各患部のHPが独立に存在しており、戦闘が始まると、本人のHPが減少していきます。それが0になる前に、つまり、患者が死亡してしまう前に、全ての患部を切除・破壊するのがオペレーションの目的というわけです。[/speech_bubble]
[speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="3.jpg" name="鶴里翠"]なるほど、救うための戦いということですね。[/speech_bubble]
[speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="4.jpg" name="デイリーさん"]そうですね。あくまでも治療行為なのです。[/speech_bubble][speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="3.jpg" name="鶴里翠"]戦闘マップは独自のものを使用するのですか?[/speech_bubble]
[speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="4.jpg" name="デイリーさん"]そうですね。オペレーションシートという、人体の各部位をマップ上に表したものを使用します。頭部、右腕部、左腕部~など、おおまかに人体が区分けされており、それがマップの役割を持ちます。 人体図をリアルにする案もあったのですが(それこそ解剖図的な……)、いろいろ考えて、この形にしました。[/speech_bubble][speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="3.jpg" name="鶴里翠"]こちらの部位を指定しながら破壊していくのですね。部位ごとに耐久値などがあるのですか?[/speech_bubble]
[speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="4.jpg" name="デイリーさん"]そうですね。部位ごとに耐久値や攻撃範囲、攻撃力が設定されます。 また、先ほどの、本人のHP(生命)に与えるダメージも、部位ごとに設定されます。なので、攻撃力の高い部位から先に狙うか、それとも、患者本人の生命への危険が最も大きい部位を先に破壊するべきか、などの戦略的な要素もあります。
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[speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="3.jpg" name="鶴里翠"]オペレーションのとき、患者の全身は異形化しきってる状態なのですか?[/speech_bubble]
[speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="4.jpg" name="デイリーさん"]そうですね、エネミーデータの作り方にもよりますけれども、イメージとしては全身が異形化しています。見た目はほぼ、人間大の怪物になっていると考えていただければ良いと思います。[/speech_bubble][speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="3.jpg" name="鶴里翠"]セラフィザインによって怪物になった人々はどのくらい強いのですか?一般市民ではどうしようもないが、警官などが銃などを使えば沈静化できるレベルなのでしょうか?[/speech_bubble]
[speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="4.jpg" name="デイリーさん"]そうですね、一般人ではどうしようもない程度には強いです。熊とか虎よりは強いですね。 また、設定面の話になるのですが、異形化した部位には通常の銃弾などは有効ではありません。これは、異形化部位が未知の物質で構成されているからであり、先ほどのトレラントの設定と関連するところでもあります。もちろん、普通の銃で異形化していない部分を狙えば沈静化できますが、その場合、異形化した人は死亡することになるでしょう。[/speech_bubble][speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="3.jpg" name="鶴里翠"]普通の人間に倒すことは可能だが、救うためには同じセラフィザインの特定の因子を持った人間(=トレラント)でなければならない、ということですね。[/speech_bubble]
[speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="4.jpg" name="デイリーさん"]そうですね。[/speech_bubble][speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="3.jpg" name="鶴里翠"]そういえば、オペレーションとはどういった場所、環境で行うものなのですか?[/speech_bubble]
[speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="4.jpg" name="デイリーさん"]オペレーションは、オペレーションルームと呼ばれる、病院の地下にある、20平方メートルほどの室内で行われます。いわゆる手術室を広くしたものと考えて下さい。この場所に患者を搬送し、オペレーションをするという流れになります。[/speech_bubble][speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="3.jpg" name="鶴里翠"]なるほど。トレラントは異形化してないと読み取れたのですが、生身で戦うのでしょうか?[/speech_bubble]
[speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="4.jpg" name="デイリーさん"]もちろん、トレラントも武装しています。「トレラント・デバイス」という、異形化部位に有効な医療機器を使います。先ほどの因子を用いた薬剤を弾丸のように射出する銃器や、患部を切除するためのブレード型のものが代表的です。これらを用いて、治療を行います。[/speech_bubble][speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="3.jpg" name="鶴里翠"]そういったトレラント・デバイスを使用して、異形化した部位を切除しつつ、患者を救っていくわけですね。[/speech_bubble]
[speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="4.jpg" name="デイリーさん"]そうですね。また、オペレーションには、セラフィザイン患者のPCも参加します。彼らも、自身の異形化部位を用いて、オペレーションの対象となっている患者の治療に参加します。セラフィザイン患者のPCと、トレラントのPCが、協力してオペレーションを行うということになります。これは、設定的には、セラフィザイン患者は、オペレーションに参加することで、自身の異形化部位を制御する機会を作ると、セラフィザインの進行が遅くなる、という副次的な治療効果があることに由来しています。 また、セラフィザイン患者が協力したほうが、オペの成功率も高くなります。[/speech_bubble]
長くは生きていけないセラフィザイン患者と、同じ病気を患っても進行しなかったトレラント、二つの立場は決して変わることもなく、そして、死へと少しずつ近づいていきます。生きていけるトレラントを恨む患者や、死んでいく患者を助けられずに失い自信を喪失するトレラントもいるのでしょう。どういったキャラクターを演じるかは貴方次第ですが、心にどこか闇を含んだキャラクターを作成しやすいのもこのシステムの特徴なのではないでしょうか。
このシステムは、1シナリオにつき、プレイ時間は4-6時間を想定しています。オペレーションパートが1-2時間になるそうで、ロールパートとオペレーションパートの時間割合は、大体3:1程度になるようですね。肉厚なセッションが楽しめること間違いなしですね!
青春疾患TRPG「セラフィザイン」は6面ダイスが10個程度必要とし、GM1名、PL2-4名でセッションすることを想定してデザインされています。なお、当日頒布価格は800円です! オフラインセッションも、オンラインセッションもガンガン楽しんでいきましょうね!
◆最先端を爆走する「どらこにあん」、彼等の『これから』。
[speech_bubble type="fb-flat" subtype="L1" icon="4.jpg" name="デイリーさん"]これからも、自分の好きなものを作り続けたいと思っております。どらこにあんの活動も、2016年冬のコミックマーケットで頒布予定の「朱の孤塔のエアゲトラム」新刊から、その後のゲームマーケット等、続いて行く予定ですので、今後ともご注目頂ければ幸いです。[/speech_bubble] 同人TRPG製作サークル「どらこにあん」さんはコミックマーケット一日目(木)東オ19aでハイスピードロボットアクションTRPG「朱の孤塔のエアゲトラム Airget-Lamh: the Answerer」を頒布予定だそうです。「これまでのエアゲトラムからアヴァンドナーまで積み上げてきたエアゲトラムサーガの集大成にして、面白さはそのままにより高速に、かつ、キャンペーンも楽しく遊べるようにチューンナップがされています」と、「どらこにあん」フユ班のフユさんから伺っております! 是非、12月29日から開催されるコミックマーケット91にも足を運んで下さいね!