王国再興を目指し、2つの道に対する決断を行う「ロストロイヤル」

魔物溢れるログレス島が舞台の、幼き主君とその騎士の物語

物語には逆境から始まるものもしばしば見られます。そしてこの作品に置いても始まりは逆境の中にあります――
国王が魔王に打ち倒され、騎士たちが仕える主君はまだ幼く力も無い。それでも騎士達は主君を護り、国を取り戻す為に戦うのです。
そしてしばしば幼き主君には選ばねばならない2つの道が示される事になるでしょう。その道に対し、騎士達はそれぞれの意見を述べ、主君の助けとなるべく奮闘する――
共に支え合いながらも、時に違う意見をぶつけ合い苦渋の選択の先を示す事になるのです。
そんな騎士として復興への旅路を進んでいくTRPG作品が、この「ロストロイヤル」です。

従来の冒険企画局とは一味違う、うらべ壱鉄氏の新システムが光る

冒険企画局のルールブックと言えば、真っ先に思い浮かぶ物がいわゆる「サイコロ・フィクション」の形式。
個性や興味等を表にして、判定に使うキャラクターシート用の表を用いたシステムですが……
本作のシステムはうらべ壱鉄氏がメインとなり手掛けた、今までとは全く違う独自のものとなっています。
隠すのではなく表明して意見を交わす為のハンドアウト、独特なダイスボーナス、自らの得意とする戦場や戦い方の選択等々……
反撃の狼煙を上げる世界にマッチしたゲームシステムに仕上がっています!

『命運』と『宣誓』にて主君が選ぶべき道を示す

例えば王と共に目的地に向かう際、多くの敵が居る危険地帯を突破する事で民を勇気付ける事ができるかもしれない。
或いは目立たない道を通り手薄な所を通る事で、主君の安全が図れるかもしれない。
しかし危険な道では主君の命が脅かされ、安全な道を行けば人々は魔物の恐怖を感じ続けたままになる。
国民の姿を見た若き主君は、その判断を一人では決めることができないでしょう――
そんな『命運』に迷い戸惑う主君に向き合いつつ、プレイヤーが動かす騎士達はそれぞれの信念に沿うようなハンドアウトを取って『宣誓』を行い、道を示していく事になるのです。
単純にどちらの道を選んでも間違いではない、とはいえ最善かは分からない選択を続けていき、若い主君は経験を経て成長していくのです。

その選択の先に主君が辿り着く結末が英雄なのか、賢王か、はたまた覇王なのか――
行く末を見守るという点では、キャンペーンに繋げやすい作品となっています。

敵を倒すだけではなく、時には『血路』を開き敵から逃れる事も

主君に示す道の違いで対立する事はあっても、プレイヤー達の一番の目的は同じ。
まだ若いとはいえ、英雄王が遺した主君が挑む儀式を成功させ、人々の脅威となる魔族を退ける事です。
戦いともなれば全員で力を合わせて主君を狙う敵を協力して倒していく事でしょう。
しかし、ロストロイヤルでは必ずしも敵を全て倒す事が目的となる訳ではありません。
時には、多くの敵の手を逃れるために『血路』を開き、襲い来る魔族の包囲を逃れる事も選択肢となるのです。
主君と共に在り、時には主君と共に悩んだり道を示しつつ……その命を第一と考えるという点ではどの騎士も同じ想いを持っています。
そして、儀式を全て成功させた時に古き時代に身体を失った龍が復活するとされ、この龍によって魔族を一掃した時に成長した主君が王として再び島を統治する事でしょう!

若き君主を守護するは、騎士たる6つの種族

ロストロイヤルの世界では、6つの種族が騎士として選択する事ができます。
それぞれの得手不得手がありながらも、君主を護り敵たる魔群や魔人と戦うだけの力を持つ者達です。
特徴を捉え、良き王の導き手となれるようにキャラクターを作り上げてみましょう!

最も人口が多く、生命溢れる『人間種』-レン-

どのような戦い方に対しても最低限の心得があり、幅広い戦い方を行える種族です。
ただ魔力に関しては専門とする種族に劣り、武力は尖らせたとしても武力特化の種族に及びません。
王に対しては正義や凛々しさ、実利的なものをもたらす者が正しい在り方だと考えている傾向があります。

特に秀でたものが無い――だからこその力を活用せよ

人間種は他の種族に比べてそこまで秀でた力をもっていません。
ただ、特筆した性質を持たない代わりに、運命に対して大きく抗う力を種族固有として持ち合わせています。
また、器用さに秀でていて、特化された種族でないにしても足りない部分を補うという事も可能となっています。
汎用性や運命に立ち向かう意志で、主君を助け支えていく事が出来るでしょう!

大きな体躯と力を持つ、鯱の末裔と称される『人魚族』-オルシナス-

大柄な肉体に漲る力が光る、武力の高い種族です。
反面、魔力に対しては適性がないと言える程不得手となっています。
王に対してはのどかであり、気前の良さを持つ海の如き者が相応しいと考えている傾向があります。

大きく力強い身体を生かす――本能と豪快さで困難を切り開け

人魚族は猛獣を飼いならしていたり、鋭敏な鼻を持ち合わせています。
またその剛腕や巨体を生かして大いに暴れ、また不利な状況からでも戦況を一変させかねない豪胆さがあります。
その力の限り君主の為に費やし、進むべき道を示す事ができるでしょう!

すらりとした肢体と脚から展開する魔法の羽が美麗な『白鳥族』-デネブ-

そのしなやかな身体が示すように、高い速力を持つ種族です。速力特化の人間族と比べて武力で劣り、魔力に秀でます。
極端に不得手な戦い方はないですが、素早さを生かした戦いに持ち込む事でその真価が発揮できることでしょう。
王に対しては享楽的、何者にも縛られぬ、星のような王を望んでいる傾向があります。

軽やかな動きと素早さが光る――儚い命を優雅に飾れ

白鳥族は寿命が短めな種族でもあります。が、それ故の美しさと素早さは敵の歩みをも鈍らせ、また味方が窮地に陥った時に、身を挺して救う事も可能となります。
その力を戦闘に活用する事で攻守ともに大いに助けとなる筈です。
時に君主の心を癒し、元気付けつつ歩みを共にしていく事で自由を取り戻す意志を抱かせられる事でしょう!

魔術の力を宿す、少年少女の如き姿の妖精『詩吟妖精』-ネウマ-

華麗な声や優れた音感を持ち、過去の英雄の姿や怪物の幻影を映し出す事が可能な小さい体つきの種族です。
魔力は最も秀でている反面、子供のような姿形では武力を用いた攻防に向かない所があります。
王に対しては知略や詩才のある、哲学的な王が好ましいと思う傾向があります。

吟ずる事で物語の力を呼び起こす――心も戦況も動かそう

詩吟妖精は名前の通り、物語を紡ぐ事でその情景が蘇ったかのように表現する事が可能です。
敵の戦意を削いだり窮地に味方を奮い立たせる事で、戦況を大きく変える力を持っています。
その語らいや示すべき理想を見せる事で、君主をより明晰で優れた人物へと導くことができるでしょう!

炎揺らめく力と頑強な身体を持つ妖精『火炎妖精』-フランベルジュ-

小さくもがっしりとした体つきの妖精で、炎の魔術を扱う事に長けた種族です。
かなり高い武力と魔力を持つ代わりに、速力が犠牲となっていると言えるでしょう。
王に対しては愉快であったり折れない者、軍事的な者たるべきだと主張する傾向があります。

熱き心を漲らせ炎を滾らせる――燃える力を解き放て

火炎妖精は心も扱う技も熱く、最期の時までその熱意の炎は燃え尽きる事はないとさえ思える程です。
闘争心が炎に変わり、爆焔が敵を吹き飛ばす。攻撃に長ける他、味方のサポートもこなす事が可能です。
己の炎の如く、明るく周囲を照らす事で、君主に最後まで心を折らぬ姿を焼き付け、力を与えられるでしょう!

自然と植物に愛され、瞳を閉じたままの妖精『咒林妖精』-ニルヴァーナ-

「悟り」と呼ばれる感覚を瞳の代わりに用いて活動する種族です。火炎妖精並の魔力と人魚族並の速力を持ちます。
ただ武力に関しては素人ではないものの、白鳥族より劣ります。その瞳は懐妊し母となる者以外開かないとの事。
王に対しては健やかで慈悲深き、森のような王であって欲しいと思いを馳せる傾向があります。

木々や花々の力と共に――命を悟りて抗い進め

高価ではあるものの効き目抜群の妙薬を調合したり、木々を成長させたり花を咲かせる事で活力を与え、敵を阻むことができます。
また、悟りの力を用いた伝統の戦闘技を用いて、あと少し足りない力を補いながら戦う事も可能となっています。
少なくとも目を見開く時が来るまではその慈愛の心を以て、若き君主に優しさを伝え続ける事ができるでしょう。

騎士達の選択はよく割れる!どちらにするかのアピール合戦

王城から何とか逃げ出した、騎士達と若い君主は目的の為に、どのように行動するかを決めなければいけません。
例えば……

人間族「あるじ殿!今こそ民の為に次の街まで堂々と大通りを進んで参りましょう!」

白鳥族「それはよい!民が待ち望む一番星ここにありと示すのですね!」

咒林妖精「待って下さい、大事な御身が大きな危険に晒されます。ここは慎重に事を運ばなければ……」

君主「ど、どうしよう……」

というように、危険と引き換えに民を元気付けるか、それとも君主の身を第一に考えてこそこそと立ち去るか、であったり。

詩吟妖精「我が王、庶民の目線を知るのも大事。ここで少しの間働きつつ日々の糧を得ませんか?」

人魚族「おいおい、メシなら近くの砦にいる魔族を追っ払って、そこの倉庫にあるモンで食えばいいんじゃねーか?」

火炎妖精「そう言うなって、案外仕事だって面白い経験になるっしょ?愉快な事がいっぱいあるかもしれないじゃん!」

君主「え、お仕事……?」

というようなちょっとした事だったりと様々です。
また、意見が少数側になった場合はリソースが増えたりします。
後は君主と話して導いてみたり、意見が対立してる他のプレイヤーの騎士とやりとりをしたり……
しかし最後の決定は君主が決め、それに騎士は従う事になるのです。
その為、少数派の意見でも採用される可能性は大いにあります!
その判断を担う『円卓シーン』までに、より意見が通りやすくなるように交流をしていきましょう!
時には辺りの妖魔を倒して来るべき戦いを有利にすることもお忘れなく。

3種のシナリオ。主君が儀式や日々の行動を経て決戦に至るまで

ロストロイヤルには3種類のシナリオタイプから1つを選択し、1つ1つのセッションを組み上げていく事になります。
ここではそのシナリオタイプについて紹介していきます。

君主が龍との約束を交わす事となる『儀式シナリオ』

ロストロイヤルの基本となるシナリオタイプになります。
セッションの終幕の時に主君が聖杯を通して儀式を行い、姿が見えないものの力を持つ龍との約束を行う事となります。
儀式シナリオを行う事で、エピソードが進んでいき、セッションで紡がれる物語の本筋が進んでいくのです。
また民の間に風聞が伝わり、支えとなる希望が増えていく事となります。

儀式の絡まない道中や一場面を描く『外伝シナリオ』

儀式を行わないシナリオタイプになります。
エピソードは進まないものの、ここでも2つの選択が示されて主君は悩み、騎士達が信条の下にそれぞれ選択の正しさを説く事になります。
このシナリオタイプの場合、希望は儀式シナリオで得られるものよりも少なくなりやすいです。

キャンペーンの最後を飾る『決戦シナリオ』

それまで積み重ねて来た儀式シナリオで、龍と交わしてきた約束が果たされるラストシナリオです。
決戦の果てにどうなるのか。そして成長した主君がどのような王になるのか。その成果が表れる事になるでしょう。

リプレイ「あした世界が」とサンプルシナリオ2つを掲載

実際のセッションの様子を録音し行われたものを纏めたリプレイを巻頭に収録。
一通り読む事で作品の雰囲気やセッション内の行動の仕方、騎士達がどのように主君を導いていくかを感じ取る事ができるようになっています。
また、セッション冒頭向けの外伝シナリオと、ある程度主君が成長した時に活用できる儀式シナリオ向けの2つを収録。
勿論シナリオ作成のノウハウもばっちり記載されています。

雌伏の時を乗り越えて――様々な岐路の織り成す世界へ旅立とう

名前表などの、お馴染みののキャラクター決めのような表があるかと思えば、作成自体は自ら選択するものが多く、それがキャラクターとして直結する本作。
今までの冒険企画局作品とはまた違った毛色の作品となっております!
再起を目指す艱難と選択の物語をプレイして、貴方の目指す君主を育て上げてみては如何でしょうか?

商品概要

名称    :育成機構RPG ロストロイヤル
出版    :新紀元社
定価    :1600円(税別)
ISBNコード :978-4-7753-1459-3

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