大石油王RPGって何?

こんにちは、なるねこです。
突然ですが皆さん、『大石油王RPG』をご存知ですか?
この表紙のイラストに見覚えがあるという方は多いかもしれません。

悪の大石油王によって引き起こされる世界の危機を救うため、正義の大石油王たちが今立ち上がる――!
(※しかもただの石油王ではありません。『大』石油王です)

そんなノリと勢いだけで遊ぶ一発ゲーム……と思いきや。
ゲームとしてもしっかりとバランスが取れていて、遊ぶとちゃんと面白い。

5月の末にはオンリーコンベンションも開かれたほど人気の同人システムですが、もう遊ばれましたでしょうか?

まだの方はコノスで販売中ですので(下記にリンクあり)、是非遊んでみて下さい。

作った人に聞いてみよう。

今回は大石油王RPGを制作されたTRPGサークル『かーにばる』『秦木はる』さんに突撃インタビューさせて頂きました!

TRPGサークル『かーにばる』とは?

「かーにばる」は、同人TRPGやシナリオ、リプレイ等、TRPGジャンルの創作活動を行っています。
制作物は、コミックマーケット等の即売会、委託販売などを通して頒布を行なっています。

大石油王RPG、制作者インタビュー

というわけで秦木さん、お話よろしいですか?

おー、ありがとうございます。大歓迎ですよ。

ありがとうございます!ゲーム自体の解説はもう、紹介記事やオンリーコン開催などもされているので。こちらでは、大石油王RPGをどんな思いから作られたのかとか、ゲームを作る時のこだわりとか、そういう所を重点的に聞かせて貰いたいなーと思ってます。

大石油王ですか、どんな思い……思い付きで作りましたね(笑)
元々ネタだししてくれた方がいて、「あるある! 行けそう」みたいなノリだけで始まりました。
ただ、テクスチャはともかく、システムの設計だけはそこから真面目に考えてます。

そうなんですよ。『悪の大石油王と戦う正義の大石油王!』とか、見るからにネタゲーなのに、システムが凄くしっかりしていて、ゲームとしてちゃんと面白いですよね。

TRPG制作のこだわり

ここがゲーム制作のこだわりだと思うんですが、『ゲームのテーマにぴったり合うようなシステムを1個1個作りたい』って思いがあるんですよね。
同人ゲームなので、システム周りは自由にできますから。商業ゲームだと遠慮しちゃうだろうなーって滅茶苦茶なシステムにしても誰にも怒られませんし。

誰かが買って、楽しんでくれればそれで良いってことですよね。遊ぶ人のことを考えて作るってなかなか出来ないと思います。

最初は全然出来てなかったですよ。別の名前で作ってた頃は、作りたいものを作るだけでしたから。……弓路さん(編集長)に記事を書いて貰ってからですね、自己満足で売っちゃダメだなぁ、ちゃんと遊んで貰えるように作らなきゃって思うようになりました。

折角作るなら、やっぱり皆に面白いと思って貰いたいですもんね。

同人誌ですから、ある意味ではそんなことする義理もないっちゃないんですけど……でも、貴重な時間とお金いただくわけですし。とはいえ、面白いと思ってもらえる人にだけ思って貰えれば、それでいいかなって思いもやっぱりあっちゃいますが。

これ楽しい! って人が少しでも居るってことが大事だと思います。

大石油王にはネタも沢山!(ネタしかない?)

大石油王RPGで特にこだわっている所というのはどのあたりでしょう?

とにかく石油王のテーマを表現することを考えました。
一般人(NPC)は石油王(プレイヤー)に絶対敵わないとか。あえてエネミーよりプレイヤーのほうが潤沢にリソースを得れるようにして、常にプレイヤーには優位に立って、いい気になって貰えるように工夫しています。

石油王のバブリーさを「とことんいい気になって貰う」ことで表現してる感じですか?

そうですそうです。やっぱり石油王になったら、『札束で相手をひっぱたいて、優越感に浸りたい』と思ったんですよね。
なんで、ゲームの目的は「いい気になる」になりました。

札束……そういえば先日のコンベンションでも、わざわざジェラルミンケース風の箱にオモチャの札束を詰めて、ゲーム中のリソースに使うとか工夫されてるプレイヤーさんが居ましたっけ。

ゲーム紙幣を使ったりする試みですよね。実はテストプレイ中は普通に紙に書いてたので、初めてツイッターで写真とか見た時、「うわ凄い面白そうだ」と感心させられました。

やっぱり形として見えると、イメージも膨らむし楽しそうですよね。
海外っぽい印刷のお札を使っていて、でも管理する時に金額が半端だから、『一枚10万ドルってことにしよう』みたいにしてましたけど。

そう、このゲーム、10万ドルが単位なのが難しいんですよね。
ちなみに、10万ドルが最低単位の理由は、「10万ドルポンとくれたぜ」っていう、「コマンドー」って映画の中で悪役が言ってたセリフからです。

え、そこからだったんですかっ?

悪い奴は、10万ドルくらいポンとくれるんだな、と。

えぇぇ(笑)。……ちなみに、他にもそういう細かいネタってあったりします?

花嫁の追加のオーダー(スキル)で、他のサークルさんのネタを勝手に使いました。ほら、今はやりの同人TRPGあるじゃないですか、世界がなんか変わっちゃうやつ。

おっ? これはオフレコにした方が良いのでは(小声)

T葉先生、笑ってたんでいいんじゃないですかね(笑)。むしろこの間、オンリーコンでT葉先生に良く似た方が嬉々として使ってましたし。

じゃ、じゃあ良い……かー(?)

あとジャスコとか。なんかとあるラノベ読んで知ったんですが、「ジャスコ」という名前は現在使われてないので、勝手に使っても怒られないらしいんですよね……

ま、まぁ大石油王RPGの世界では、今でもジャスコが営業してます。ってだけなら怒られないでしょう。……しかし攻めますねぇ。

もうそこらへん怖いものない感じで行っちゃってますからね。「資産」の「無慈悲な鉄槌」とか、結構社会的に怪しいのも。
花嫁のほうについてる、追加の「資産」なんかはもっと直接的になってるので、ここでは書けません。

――そこが気になる人は、手に入れて自分の目で確かめてみよう! (唐突な営業)

きわどさ故のシュールさ、っていうのも同人の武器ではあるので、有効活用させてもらってます。やっぱり、テクスチャ的にはネタ重視なゲームな以上、パッと見た時に話のネタで笑いを共有できたりするのは大事なので。
もっとも、殆ど現実と一緒ではあるので、あんまり苦労はしなそうではありますが(笑)。

分かり易さって大事ですよね!

シナリオも一瞬で完成します

シナリオの作り方も、陰謀論的な感じをイメージしました。とりあえずニュース見て、『その裏では悪の石油王が糸を引いていた』って書くと、このゲームのシナリオは出来上がりです。

シナリオ作成がシンプル! 流石にここまで簡単なのは凄い!

大石油王RPGを実際に作ってみようと思ったわけ

大石油王の世界って、とにかく分かり易いんですよね。
日本に原爆が落ちたのは悪の石油王の仕業だし、ノストラダムスの大予言が外れたのは正義の石油王が頑張ったおかげって言えちゃう。
ちゃんと世界律に矛盾がなくて、一本スジが通っているから面白い。

実は、このネタでいけるって判断した理由がそこでした。結局、このテーマって現代異能モノと何ら変わりなかったんですよね。掘り下げてったら。

え、そこ一緒なんですか?

「一般人にはどうしようもできない事件、だが能力を持ったプレイヤーたちならどうする?」っていう普通のテーマの、リソースをお金に差し替えただけ
一見滅茶苦茶なテーマですが、シナリオの構造もそんなに既存のものから変化しないし、お金がパワーソースなので、身の回りのことでイメージもしやすいかな、と。

おぉ確かに。そう言われてみると、テクスチャーがインパクト極大なだけで、中身は普通かも!

中身がわかりにくいと、折角手に取ってもらっても、遊び方とか、シナリオの作り方がわからなくて、遊べないですから……
とはいえ、基本の設計思想はともかく、システム周りは、石油王でいい気になる、という妙なテーマに完全に合わせちゃってるので、妙ちくりんな感じになっちゃってますけどね。

完璧なシステムを目指すのは難しいですし、やっぱり『最終的には札束で引っぱたけば良い』というのが楽しいところではないでしょうか(笑)。

しっかりしすぎてても多分面白くないですからね。システムも、あえて煩雑なままにしてたり、適当な部分を残したりしています。

遊んで面白い! というのが一番大事ですよね!

さてさて、大石油王のお話は尽きませんが、他にもお伺いしたいことがありますので次のお話に進みましょう。

新作紹介 ――神和戦奇RPG『刃桜のごとく』

今回は折角なので、かーにばるさんの新作についてもお伺いしました!

かーにばるさんの新作について、オイルマネーで刷ったチラシ(笑)を見せて頂きましたが。ゲームとしてはどんな感じなんですか?

今作っている新作、「刃桜のごとく」のほうは、石油王とは180度路線違いますね。元々、「刻の狭間のフォルトゥーナ」が僕がまともに作った最初のゲームなんですが、そっちの路線です。
普通に、かっこいい(情けない)ロールプレイしようぜ、みたいな。

負けるのって、カッコイイ?

かっこいい(情けない)……とは??

僕の中では、かっこいいロールプレイって情けないロールプレイと同義なんですよ。
頑張ったけど負けちゃったね、とか、手遅れだけどせめて一太刀、とか。
ぼくはとにかく負けるの好きなので、どうしても負けやすい(負ける言い訳ができる)ゲームを目指しちゃうので、多分好きな人しか好きになってくれないと思うんですけど。

あれ、負けるのが好きって珍しくないですか? 私はどちらかというと、「お前を倒さなくちゃ私は前に進めない」ってタイプの単純なキャラを良くやるので、負けたら死ぬくらいの気持ちで勝ちを目指しますし、負けが格好いいってイメージはあまりないかも。

勝ち続けてるうちって、意外とドラマは生まれないと思ってるんですよ。
結局限られた運命しか変えられないって設定で、どうやっても本当の「誰も彼も幸せにできる」ヒーローにはなれないんですよね。

うーん? 「どうせ救えるものは多くないんだから、この一つだけでも絶対に救う!」というのが私の格好いいイメージですが。
どちらかというと「あぁ自分にはこれしか護れないんだな、でも最後までもう一度」って頑張る方が格好いい?

あ、それはどっちもカッコいいと思いますよ。
負けるときって、そのキャラクターの何らかの区切で、その本質を演出できるチャンスなんです。そこで、『このキャラクターはこういう生き様なんだよ』って示すのが、僕の中でのカッコよさです。

あぁ、「負ける」とか「情けない」と言っているのはつまり、『本当は全部救いたいけど救えない』って局面に立った時、「じゃあ結局なにを護りたい?」「誰を見捨てられる?」って、悩んだり、迷ったり、諦めたりしていく『情けなさ』なんですね。

ですです。フォルトゥーナもこの路線で、最後まで行って諦めて人並みに生きるか、外道になっても諦めないか、って二択を選ぶまでの道を遊ぶゲームとして考えたんですよね。次の「刃桜」では、この「最後の二択」をキャラクターの死にしたんです。わかりやすく。
「俺はこのために命をかけるんだ!」っていう、「ここは俺に任せて先に行け」をやれるゲームを考えてます。

好きに死ねるTRPGを作ろう

「誰を見捨てるか」じゃなくて、「自分が死ぬかどうか」という選択肢は確かに分かり易いですけど、プレイヤーが死んじゃうのってどうなんでしょう。

死ぬロールプレイって、TRPGだとあんまりできないんですよね。基本プレイヤーは死んじゃいけない。キャンペーンだと特に。
じゃあ、死んだらデメリットなく次のキャラを作れるようにして、好きに死ねるようにしようという安易さで。ちょっと古いゲームですが、「俺の屍を越えてゆけ」ですね。

でもイメージ的に、死んでもデメリットなく作り直しOKだと、キャラの死が軽くなっちゃう気がしますが。そこは何か工夫をされてるんです?

正確にはキャラクターの作り直しではなくて、キャラクターの本体は『血筋』とか『家』なんです。例に出すと、真田家がプレイヤーで、最初は昌幸でプレイして、「お前島流し」って言われたあたりで信繁に切り替えることができるとか、あ。昌幸は島流しじゃなかったですね。

まぁまぁ、そこは例えで。

父親のキャラクターを使って、例えば主命で主君の盾になって死んだら。次は息子のキャラクターで、「お前のせいで父さんは死んだ! お前を主となんか認めない」って言ってみよう、とかってキャラを変えつつ、前のキャラの生きた痕跡をもとにロールプレイしていける感じです。

ふむふむ、そうやって受け継いでいくなら、いっそ強くてニューゲームしたいなって思いました。
諦めて切り捨てていったものが増えるほど、人は強くなるみたいな。

経験値は引き継ぎなので、基本は強くてニューゲームを繰り返していく感じになると思いますよ。
世界観を和風の戦記物にしたかったので、時代が変わっていったり、領主が死んで戦争に負けて、領地を取られてもキャンペーンのシナリオが続けられる。というのがこのキャラクター設計の理由になります。
ラノベとかゲームの戦記モノだと、サクサク負けて土地を追われてから再起したりしますし、歴史小説なんて数世代のシナリオだったりしますよね。
戦記物の楽しさを描くために、こういうシチュエーションを許容できる設計にしたかったんです。

なるほど。『何度死んでも世代を越えて一本のシナリオを遊べるデザイン』か……新しいですね。

完成を楽しみにしています♪

神和戦奇RPG『刃桜のごとく』のリリース予定

この『刃桜のごとく』はいつごろリリースされる予定ですか?

今年中ですね。冬コミ、早ければ秋のゲームマーケットでしょうか。遅くとも秋にはβ版を完成させて、今回はサークル外でもテストプレイしたいと思っています。――ただ、夏ごろにも何か出したいと思っているのでどうなることやら。

おぉぉ是非、テストプレイの時はお声掛け下さい! 夏に出す方も遊べたら遊びたいです!

ありがとうございます、頼もしいです(笑)

楽しみにしてますね!
それでは、本日は長々とお付き合い頂きありがとうございました。
予想以上に色んなお話が聞けて面白かったです。

こちらこそありがとうございました。

さいごに

皆さん、最後までお付き合いありがとうございました。
今回お話頂いた秦木さんにも、こちらで改めてお礼申し上げます。

「かーにばる」さんでは、他にも「セヴナント†アーク」など出しておりますので、興味の湧いた方は是非手に取ってみて下さい!

関連リンク

TRPGサークル「かーにばる」
⇒公式サイト

 Carnival's Website
Carnival's Website
http://carnival.trpg.club
TRPGサークル「かーにばる」のウェブサイトです。オリジナルTRPGシステムの制作、シナリオの公開を行なっています。
⇒販売作品
夏の新作や、秋か冬に出る予定の「刃桜のごとく」も後々追加されていくと思いますので、時々覗いてみてくださいね。

 

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