さて、ロードバイクアイテム紹介も第二回目となりました!
今回紹介するのはサイクルコンピューターです。
サイクルコンピューターは速度や走行距離、走行時間などを記録するだけではなく、心拍数やペダルの回転数(ケイデンス)測定といったペース管理もできる、いわばアドバイザーの役割を果たしている大事なアイテムです。
ロードバイクを趣味にする、と一口に言ってもロードレースで良い結果を残したり、美しい風景を求めて遠くまで走ったり、ダイエットのために走る、など皆さん様々な目的があるわけですが、その目的に応じたサイクルコンピューターを選ぶことでよりロードバイクという趣味を楽しむことができるのです。
サイクルコンピューターの紹介は長大な内容になりますからこの記事<アイテム紹介記事その2-1>では機能面について、後に公開する<アイテム紹介記事その2-2>では具体的におすすめできる商品を紹介することにします。
サイクルコンピューターの機能
サイクルコンピューター(サイコン)にはセンサーが取り付けられていて、さまざま計測をしてくれます。
基本的な機能
- 速度・平均速度
- (累積)走行距離
- 走行時間
これらの3つの機能はどのサイクルコンピューターにも必ず搭載されています。
速度・平均速度
速度の測定方式
速度測定ですが、スポークに磁石を付けて前輪スポークならフロントフォーク、後輪スポークならチェーンステーに磁力を感知するセンサーを取り付け、センサーを通過するまでの時間の間隔を測ることで速度を算出するものや、GPS で現在位置の変動をキャッチして速度を測るモデルの2つがあります。
自転車本体に取り付けるセンサーで後輪を利用するものは、ペダルの回転数を検知するケイデンスセンサーを兼ねているモデルもあります。
GPS で測るものは、自転車本体に取り付けたセンサーで測るものに比べて、より正確に平均速度を算出することができます。
自転車本体に取り付けたセンサーによる速度計は停車したあと、センサーが磁石を検知するというシステム上、しばらくは速度がゼロにはならないためです。
GPS を搭載したサイクルコンピューターは自転車本体に取り付けたセンサーによるものよりも高額であることが多く、多機能なハイエンドモデルであることが多いです。
また、当然ですが、トンネル内など電波が届かないところでは正常に動作しません。
平均速度を知ることであとどれだけの時間走れば目的地に着くのか概算することができますので、走りに行く際にはただ数値をみて「速い、遅い」などを判断するだけではなくペース管理に役立ててほしいと思います。
速度はトレーニングをする指標になるか?
よくインターネットの質問サイトや個人のブログを見ていると、「今日は平均速度が何km/h だった、速くなった、遅くなった」のような書き込みや、「平地巡航速度が何km/h なのですが遅いですか」といった書き込みが見られます。しかし、これらは全くあてにならないとは言いませんが、あまり重要な情報ではありません。
いつもより体調が良くって速かったのかもしれませんし、風の影響で速くなったり遅くなったりと、速度が変動する要因というのはたくさんありますから、速度だけ見てもあまりあてにならないのです。
詳細は後述しますが、より自分の体の能力に注目した心拍数やペダルにかかるパワーといった指標のほうが遥かにトレーニングの指標になると考えています。
言うまでもありませんが、自分の強さを把握する一番の方法はレベルの違うレースに出ることです。
余分な話ではありますが、練習はレースではありませんので、信号などは守ってください。
平均速度を上げるために信号を無視したり危険走行をする人がそこそこ見られますが、あまりにも自分勝手な思考です。
(累積)走行距離・走行時間
文字通り走行距離と走行時間を記録することができます。
おそらく大半のサイクルコンピューターは2-3つほど走行距離を記録することができます。
- 一つはアクティブに使う走行距離で、走行するときに使います。
- 二つ目、三つ目は累積走行距離として用います。
- 三つある場合例えば二つ目は月間走行距離として用いる、といった活用法があります。
走行距離の記録はレースの練習の進捗具合を把握することにも役立ちますが、機材の交換時期を把握することにも役立ちます。
例えばチェーンは3000km おきに交換することが良いと言われており、交換の時期の見極めにこの累積走行距離が役立つのです。
一部のパーツにはメンテナンス時期が定められているものがあります。
例えばCampagnolo製コンポーネントの一部のクランクは3200km 走行ごとにグリスアップが必要、という具合に定められています。
ケイデンス
ケイデンスとは一分間にクランクが何周回転しているかを表す(単位はrpm/round per minutes[一分間ごとの回転数])数値です。
一般的に、ケイデンスは一定値にして走るとなるべく疲れずに走ることができると言われています。
一定値というのは人それぞれであり、速度というのは「ペダリングパワーxケイデンス」という掛け算式に算出されるものであり、同じ速度と言っても、ペダリングパワー重視の人は重たいギアで回転数は少なく、ケイデンス重視の人は軽いギアで回転数を多くする、というような関係性があります。
上級者の方はフィーリングで今自分がどれだけのケイデンスで走っているのかがわかりますが、初心者の方は自分がどのような走りで走っているかわかりませんし、やはり上級者の方でも客観的に数値で把握することが大切になってくると考えます。
心拍数
一分間に心臓が何回脈打っているかを表しています(単位はbpm/beat per minutes[一分間の脈])。
この数値を把握することで自分が今どのような運動強度で走っているかを把握することができます。
心拍数を活用するためには、自分の最大の心拍数や起床した時の心拍数である安静時心拍数をもとにしてどのレベルの運動をしているかを把握しなければ意味がありません。
ロードバイクの有名な練習法にLSD(Long Slow Distance)という練習法があり、これは有酸素域で遅い速度で長い時間走ることにより、持久力をつけるトレーニングですが、そういったトレーニングを行うときに心拍数が必要です。
また、ダイエットを目的として自転車に乗る場合にも脂肪の燃えやすい心拍ゾーンを把握する必要があります。
ケイデンスと同様に走行ペースを管理することで、負担を軽減することができます。
心拍数はトレーニングの指標として使えるか?
心拍数は先に紹介したLSDなどのトレーニングの指標として使えますが、完全に、とは言い難いです。
心拍数はその日の体調によって簡単に変動し、運動強度の変化が心拍数に現れるまでに若干のタイムラグが生じますので、インターバルトレーニングのように、ごく短時間で行われるトレーニングには適していません。
とは言うものの、心拍数とケイデンスがわかれば大抵のトレーニングをこなすことができると考えています。
トレーニングにこだわるのならやはりパワーという指標を使う必要があります。
パワーという指標を生かしたトレーニングというのは(もちろん基礎的なこともできますが)応用的なので、はじめのうちは心拍数やケイデンスを活用した基礎的なトレーニングをすることが肝要なことだと思います。
パワーメーターによるパワー計測
ペダルにかかるパワーを表示します(単位はW/Watt[ワット])。
パワーはトレーニングに用いられます。
パワーは先にも述べたように、速度や心拍数とは違い、正確に運動強度を把握することができます。
速度や心拍数は、路面状況や斜度(平地だと思っていても微妙に傾いていたりする)、風、体調といった外的要因に左右され、正確性にかけていますが、パワーメーターは外的要因に左右されずに自分がどれだけの力を出しているかを知ることができます。
パワーを計測するためには、パワーを表示可能なサイクルコンピューターとパワーを計測する装置(パワーメーター)の二つが必要です。
ものによっては、左右のペダルにかかる力を別々に出力したり、ペダリングの効率、ペダリングパワーのかかり具合を視覚的に表示することもできますが、サイクルコンピューターとパワーメーターの両方が必要です。
パワーメーターは高額であり、安いものでも5万円前後、普及帯で10数万円し、クランクに取り付けたり、ペダルと一体化したものなど様々な形態があります。
サイクルコンピューターも数万円するような高額なハイエンドモデルのものでなければ対応していないことが多いです。
サイクルコンピューターの中には仮想パワーと言うかたちで出力することができるものもありますが、パワー計測の意義には沿わないと考えます。
パワー計測可能なサイクルコンピューターはハイエンドモデルですので、心拍数やケイデンスはもちろん測定することができます。
ナビゲーション機能
GPS搭載サイクルコンピューターの一部では、サイクルコンピューターに地図を表示して目的地までナビゲートする機能がついたものがあります。
ロングライドでいろいろなところに行きたい、というときに重宝するのではないでしょうか。
ブルベというロングライドのイベントがあるのですが、私がブルベに参加している方のブログを見る限りは皆さんナビゲーション機能の付いたサイクルコンピューターを使っているようです。
こちらもパワー計測可能なサイクルコンピューターと同じで心拍数やケイデンスを計測することができます。
また、パワーも計測可能であることが多いです。
高度計・斜度計
主にハイエンドモデルのサイクルコンピューターに搭載されていますが、現在の高度、斜度を測ることができます。
高度に関しては、獲得標高も表示できるでしょう。
パワー計測の項で仮想パワー計測機能について説明しましたが、この仮想パワーを計測するときに斜度計のデータが使われます。
基本的にはGPS搭載のサイクルコンピューターに限定される機能だと思います。
GPSによる算出でなければ大掛かりなセンサーになってしまうのではないでしょうかね。
走行記録ログ
ハイエンドモデルのサイクルコンピューターはパソコンの専用ソフトと連携して走行データを保管することができるものがあり、折れ線グラフに出力できるものがあります。
自転車走行記録アプリStrava との連携
パソコンの専用ソフトに走行記録を保管できるものには、Strava という自転車の走行記録をつけるSNS にアップロードできるものもあります。
ツイッターや個人ブログを見ると活用されている方が多いイメージがあります。
SNS と書いたように、単に記録をつけるだけではなく、交流もできるので、仲間を増やしやすいと思いますし、なによりも他人も見ていますし、練習もしていますから目標に対するモチベーションを上げることもできるのではないでしょうか。
用途別に最適なサイクルコンピューターをご紹介
ロングライドをメインにしている方
ロングライドでは先にも述べたように心拍数やケイデンスといったペース管理をしっかりすることが重要になってきます。
ペース管理をしっかりしていれば途中で倒れたりすることもなく、より遠くまで速く到達することができます。
ですから、サイクルコンピューターを選ぶときには心拍数とケイデンスを測定する機能が搭載されたものを選ぶ必要があります。
また、ナビゲーション機能のついたサイクルコンピューターもおすすめできます。
これがあれば道に迷うことがなくなり、より快適にロングライドを楽しむことができます。
ただ、ナビゲーション機能付きのものは高額であり、なかなか手が出せない、という方も多いでしょう。
そのようなときにはスマートフォンを活用するといいでしょう。
スマートフォンをハンドル部分やトップチューブに安全に固定できる商品がありますのでそちらを使うと、スマートフォンの地図アプリでナビ代わりにすることができます。
スマートフォンの充電が切れてしまうからダメだという方もいると思いますが、そういうときはやはりモバイルバッテリーの出番だと思います!
スマートフォンで地図案内させるとなると(外は眩しいですから)最大輝度にする必要があるため、電池をより多く消耗してしまいますし、機種によっては熱暴走を起こすことがあるかもしれません。
レース参戦をメインにしている方
ロングライドと同様に心拍数やケイデンスを測る必要性があります。
ロングライド、レース問わずにペースを管理することは大変重要なことです。
レースの最初に自分のペースを意識せずに上げ下げを繰り返していたらレース後半でバテて何もできなくなってしまうということがあるかもしれません。
また、高度なトレーニングをするためにはパワーメーターが必須不可欠です。
パワーメーターがあればゴール手前での順位争いであるスプリントや、先頭集団から離れて逃げ切る場面など、レースの局面を再現することができます。
心拍数をもとにレースの局面を再現することは外的要因に大きく左右されるため難しいといえます。
まとめ
大変長くなってしまいましたが、ここまでお読み頂きありがとうございました。
サイクルコンピューターは自転車乗りの頭脳といっても過言ではありません。
数値に頼り過ぎることも問題ですが、自分の感覚だけではペースを正確につかむどころか時として大きくペースを狂わせてしまうことでさえもありえます。
サイクルコンピューターは自転車走行に対して<客観的指標>を与えるアイテムだともいうことができます。
サイクルコンピューターの具体的なおすすめアイテムについては後日更新します。