Shimano製コンポーネントのグレード別の違いを教えて下さい🙋

そもそもコンポーネントとは何でしょうか?

ロードバイクの選び方でも少し説明しましたように、スポーツバイクの世界では、ブレーキ、レバー、クランクセット、スプロケット、チェーンなど自転車の部品をある程度ひとまとめにしてコンポーネントとよんでいます。
少し話が脱線してしまいますが、コンポーネントとしてひとまとまりにすることで、様々なメーカーのパーツを混ぜて使うよりも互換性が向上し、製品のパフォーマンスを最大限にまで引き出すことができる、とされています。
ロードバイク用のコンポーネントを製造、販売しているメーカーは、Shimano, Campagnolo, SRAM の三社ですが、この中で9割くらいのシェアを占めているのはShimano になります。
ロードバイクを販売しているプロショップに行けば、ほとんどのロードバイクにはShimano 製のコンポーネントが装備されています。
一概にShimano 製コンポーネントといってもグレードが幾つかあり、それぞれのグレードで違う点があるので紹介していきます。
はじめにそれぞれのグレードと特筆すべき機能を紹介して、その後にパーツごとの違いを紹介する方式を取ることにします。
今回紹介するのはどのコンポーネントも2017年2月現在での情報をもとにしています。
この記事は6000文字くらいの長い記事ですので、時間がなければ自分の知りたい部分だけ読んでいただき、時間のあるときにじっくり読んでくださるといいと思います。

Shimano 製コンポーネントのグレードには何があるのか?

上位のグレードから順に紹介していきます。

DURA-ACE(デュラエース)

SHIMANO(シマノ) DURA-ACE デュラエース R9100シリーズ 初回導入キット_53-39T 33617
Shimano 製最上級コンポーネントです。
おおよそ60万円以上の完成車に装備されていることが多いです。
ツール・ド・フランスに出場するような世界トップクラスのロードレースチーム(UCI[Union Cycliste Internationnale/国際自転車競技連合]ワールドチーム)に代表される、自転車競技で生計を立てている選手にはこのDURA-ACE の搭載されたロードバイクが供給されます。
以下、特徴的な機能を列挙していきますと、

  • 電動変速の機能であるDi2[オプション]
  • Di2 モデルについて、変速時に適切なギア比に自動で変速することのできるシンクロナイズドシフト機能[オプション]
  • キャリパーブレーキに比べて制動力の高い油圧ディスクブレーキ搭載[オプション]
  • パワーメーター搭載型のクランク[オプション]
  • リアディレーラーの形状を改善し、損傷のリスクを軽減(シャドーディレーラー

といった機能になります。

値段としては国内正規価格でオプションなどにもよりますが、20数万円程度でしょう。
Di2 などのオプションを追加するとぐっと値が上がります。

Ultegra(アルテグラ)

シマノ(SHIMANO) アルテグラ ULTEGRA 6800 コンポセット コンパクトクランク仕様
DURA-ACE に次ぐコンポーネントになります。
おおよそ30万円以上の完成車に装備されていることが多いです。
クランクやリアディレーラーを除いてほとんどDURA-ACE と同じような見た目をしています。
DURA-ACE と同じようにDi2 搭載モデルが販売されています。
DURA-ACE と違い、値段に差が出るようなオプションはDi2 くらいです。
値段としては国内正規価格で大体10万円くらいです。
もちろんDi2 モデルは数万円プラスです。

105(イチマルゴ)

シマノ SHIMANO FC-5800 50×34T 172.5mm 105 クランクセット ブラック IFC5800DX04L
一番普及しているであろうと思われるコンポーネントです。
Shimano の公式の見解では105 以上がレース用コンポーネントであると位置づけられています。(ただし、レースに出場するときに105 以上でないと参加できないというルールはなく、比較的多くの人が使っているだけという話。)
大体15万円以上のロードバイクに採用されています。

なぜ105が推奨されるのか

ロードバイクに乗られている方が新しくロードバイクを始めようとしている方に決まって言うのが「コンポーネントは105以上にしておけ」というセリフです。
「ロードバイク 初心者」などで検索すると、数々のノウハウがヒットしますが、たいてい上のセリフを見かけますね。
理由としては以前[ロードバイクの選び方]で紹介した項目も挙げられますが、昔のロードレースにおいてサポートカーがスプロケットなどをサポートできるコンポーネントが105だったからこのように言われる、という説もあります。
機能面としてはDi2 に対応していないことを除いてほとんどUltegra と変わりません。
値段としては国内正規価格で6-7万円程度。

Tiagra(ティアグラ)

SHIMANO(シマノ) FC-4700 10S 50X34T 170mm FC-4700
105 の次に普及しているであろうコンポーネントです。
大体10万円以上のロードバイクに採用されています。
印象としては、105を操作性や変速段数や重量の面でダウングレードした、というところです。

ブレーキの構造の違い

特筆すべきは、このTiagra 以下のコンポーネントでは105 以上のコンポーネントと違い、ブレーキがデュアルピボットという構造ではないことにより制動力に大きな差が生まれる、ということです。
値段は大体4万円ほどです。

SORA(ソラ)

SHIMANO(シマノ) クランクセット FC-R3000 9S BB別売 SORA(ソラ) 50×34T 170mm EFCR3000CX04X
このコンポーネントやこれより下のグレードのコンポーネントをあまり見かけたことはありません。
大体10万円以下のロードバイクに採用されていることが多いようです。
一つ前のモデルでは、現行のTiagra のような見た目ではなかったのですが、現行のSORA はTiagra などのコンポーネントに見た目を似せています。
値段は3万円と数千円程度。

Claris(クラリス)

SHIMANO(シマノ) FC-2450 ・対応BB オクタリンクES 113mm 34X50T 170mm ブラック FC-2450
5万円程度の格安ロードバイクというジャンルのロードバイクに採用されていることが多いです。
試しに格安ロードバイクが多数売られているAmazon で「ロードバイク」などと検索してみると、Claris 搭載を謳ったモデルのロードバイクを発見することができます。
このモデルはSORA 以上のコンポーネントと違い、見た目や機能性がだいぶ変わります。
特にSTIレバーが上位グレードに比べて大きく、握りやすい形ではないという点が問題です。
価格は3万円程度。

Tourney A070(ターニー)

SHIMANO(シマノ) クランクセット チェーンガード有 TOURNEY FC-A070 EFCA070C04C
こちらも5万円程度の格安ロードバイクに採用されることが多いです。
Tourney というグレードは、外装6段変速のシティーサイクルや、格安スポーツバイクにも採用されていますが、このA070 というモデルは、ロードバイク用に作られています。(ルック車という規格のマウンテンバイクにもTourney グレードはありますが、シティーサイクルのものとも、A070 とも違ったものになります。)
このコンポーネントが発表されるまでは、格安ロードバイクのコンポーネントはルック車規格のマウンテンバイクに搭載されていたTourney をベースに、変速周りに関しては、STIレバーとは違ったパームシフターと呼ばれるものを装備していました。
A070 では、Claris の形ではないのですが、それに近い形のSTIレバーが用意されています。
ブレーキに関しては用意されていません。
値段は大体2万円程度でしょう。

パーツ別にはグレードでどのような差があるのでしょうか?

STIレバー

SHIMANO(シマノ) ST-6800 左右レバーセット 2X11S ST-6800

変速段数

DURA-ACE、Ultegra,105 は11段変速で、Tiagra は10段変速、SORA は9段変速、Claris は8段変速、Tourney A070 は7段変速です。
この変速段数は、リアディレーラーのみの段数です。

フロントトリプル対応レバー

大抵のロードバイクはフロントディレーラーが2段変速(これをフロントダブルという)ですので、上記の変速段数に×2することですべての変速段数になります。
Tiagra 以下のグレードでは3段変速(こちらはフロントトリプル)のフロントディレーラーが用意されていますが、レバーに互換性がないので対応したレバーを買う必要があります。

形状の違い

DURA-ACEからSORA までは同じ形状で、シフト、ブレーキケーブルは内蔵式になっているので、スマートな取り回しをすることができます。
ただし、上位グレードに用意されている、Di2 のレバーや油圧ディスクブレーキ用のレバーでは若干形状が異なります。
Claris は操作方法はSORA 以上のレバーと同じですが、形状が異なり、Claris のレバーは太くて握りにくいです。
Tourney はSTIレバーの中で唯一操作方法が異なり、レバーを上から握るブラケットポジションでの使用に最適化されています。

ブレーキ

シマノブレーキ 105 BR-5800 前後セット シルバー

DURA-ACE,Ultegra,105 のブレーキに関してはデュアルピボットブレーキと呼ばれるものであり、Tiagra 以下のブレーキとは異なります。
Tiagra 以下のグレードではシングルピボットブレーキと呼ばれるものが採用されています。
デュアルピボットブレーキはブレーキの左右のてこの軸が独立しており、左右のてこの軸が独立していないシングルピボットブレーキに比べて片効きしにくいことに加え、制動力も高いです。
ブレーキは止まることだけが目的ではないことや、高すぎる制動力ではホイールがロックしてしまうこともあるので、デュアルピボットブレーキが全てにおいて優れているわけではない、とする主張も見られます。
Shimano のライバルであるCampagnolo 製のコンポーネントでは今でも、シングルピボットブレーキのオプションが用意されています。
ただ、私の感触としてはTiagra のブレーキは105 のブレーキに比べて明らかに効きが悪く、止まれないため、とても街乗りで使っていて安心できるレベルではないと判断します。

ブレーキのオプション

ダイレクトマウントブレーキ

DURA-ACE,Ultegra,105 のブレーキでは、ダイレクトマウントブレーキと呼ばれるモデルも存在します。
従来のブレーキはフレーム台座にボルト一本で固定していましたが、このブレーキはそのボルトを二本に増やすこと(当然、対応したフレームが必要)で、ブレーキキャリパーの剛性を上昇させ、制動力を向上させることができます。
また、BB下に取り付けることのできるブレーキも存在します。(もちろん対応したフレームが必要)

油圧ディスクブレーキ

DURA-ACE や、グレード外のものが存在します。

 

クランクセット

SHIMANO(シマノ) DURA-ACE デュラエース R9100シリーズ クランクセット FC-R9100 52X36T 170mm 11S 33573

クランクのアーム数

外見上の差を言いますと、DURA-ACE からSORA までは4アームクランク、Claris,Tourney は5アームクランクとなっています。
4アームクランクというのは、BBの軸からチェーンリングに向かって伸びているアームの本数が4本である、ということです。
クランクセットは中空のほうが剛性が高いとされており、つまり、4アームクランクのほうがより剛性面で優れているというわけです

フロントトリプル対応クランク

STIレバーの節で説明したように、Tiagra からTourney までにはフロントトリプルのオプションがありますので、フロントトリプルにするのならもちろんクランクセットも対応したものを用意しなければなりません。

オプションの差

上位グレードになるほどギア比を選択する幅が増えます。
ギア比というのはペダルを一周させたときのホイールの回転数を表します。
例えばギア比が1であればペダルを一周させるとホイールが一回転するということであり、ギア比が高ければペダル一周で進む距離は増える、すなわち重たいギアになるということです。

ギア比とはなんですか?

ギア比というのはクランクの歯数とスプロケットの歯数によって算出され、クランクの歯数を増やしてやれば、ペダル一周でより多くのスプロケットの歯数を巻き取ってやることができますので、進む距離が増え、速度が上昇するということになります。

参考: (ギア比)=(クランクの歯数)/(スプロケットの歯数)

速く走るためには、ギア比を上げることだけではなく、ペダルの回転数を増やすという方法もありますので、ギア比は大きければいいということではありません。
ギアの重たさを取るか、ペダルの回転数を取るかは人によりますので自分のライディングスタイルに合わせて選択する必要があります。
大きな区分けとしてノーマルクランクとコンパクトクランクという分け方が存在します。
スプロケットやチェーンの関係上、変速段数が違うコンポーネントとは一部例外を除いて互換性はありません。

スプロケット

SHIMANO(シマノ) CS-9000 11S 12-28T 23456791358 CS-9000

クランクのオプションと同じで、上位グレードになるほどギア比を選択する幅が増えます。
また、上位モデルは軽量化などの理由により、一部分をチタンにしていることもあります。
クランクの歯数とは逆に歯数が少ないほどギア比が高くなります。
スプロケットの区分として、クロウスレシオ(close ratio/狭い比)とワイドレシオ(wide ratio/広い比)とがあります。
前者は各々のギア比が接近しているものをいい、ギア比の変化が大きくないので微妙なスピードコントロールに適しており、後者は各々のギア比が離れていてギア比の変化が大きいのでアップダウンの激しいコースに向いているでしょう。
なお、クロウスレシオのことをクロスレシオと書いているものもありますが、英語の発音の観点からすると誤りです。(クロス=closs である!)
クランクセットと同様に変速段数は基本的に合わせて使わなければなりません。

チェーン

シマノ DURA-ACE/XTR CN-HG901 116LINK 11s用 SIL-TEC CHAIN(CN-9000/CN-HG900後継)

グレード別の差では変速段数による寸法の違いや重量が異なります。
変速段数が増えるほどにチェーンは細くなり、耐久性は一般に低下すると言われています。

フロント/リアディレーラー

SHIMANO(シマノ) DURA-ACE デュラエース R9100シリーズ フロントディレーラー FD-R9100 直付 2X11S 33599

SHIMANO(シマノ) DURA-ACE デュラエース R9100シリーズ リアディレーラー RD-R9100 11S 対応CS ロー側最大25-30T (トップ14Tギア対応) 33600

グレードごとの基本的な違いは変速段数です。
一般的に上級グレードになると変速のショックが少なくなると言われますが、整備やフレームの精度に左右される部分もあり、一概にグレード別で変速性能が変わるとは言い切れません。
スプロケット歯数の大きさやクランクの段数によって対応しているディレーラーが異なります。
スプロケットの歯数を大きくするとリアディレーラーはロングケージと呼ばれる長いものを用意しなければなりませんし、クランクでフロントトリプルを使用するのなら専用のフロントディレーラーを用意する必要があります。
Di2 モデルには専用品が用意され、電力供給用のユニットが必要です。

まとめ:コンポーネントのグレードはあまり気にしなくても良い

いかがでしたでしょうか?
とても長い記事になってしまいましたが、この記事を最後まで読んでいただきありがとうございます!
概して、コンポーネントのグレードを上げるメリットとしてはギア比などをより自分にあった環境を構築できるということにあるといえそうです。
私としましては、様々な要因から自分にあった環境を構築するためには105 で必要十分だと考えます。(分量の問題で詳細なオプションを記載できなくてゴメンナサイ)
コンポーネントの違いに気付ける人はそんなに多くないと思いますし、コンポーネントの違いよりもホイールやタイヤなどの違いのほうが気づきやすく、変化も大きいと私も考えますし、周りの人もそのように証言されています。
実際にコンポーネントの違いについてインターネットで調べてみるとそのような声がほとんどです。

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